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【犬と猫の歯 後半】【獣医師 小林先生のコラム】vol.66.67

【獣医師 小林先生のコラム】vol.66.67

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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。

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【犬と猫の歯 後半】

 

【虫歯と歯周病】

さて、人は虫歯になりやすく、犬猫は歯周病になりやすいというのはご存じでしょうか。人の口の中は弱酸性~中性で虫歯菌が増えやすく、犬猫の口の中はアルカリ性なので虫歯菌は増えづらく、その代わり歯周病菌が悪さをしやすいといわれています。

また、犬や猫は人より歯垢が歯石になる時間が早く、我々獣医は飼い主さんに「歯垢は3日で歯石になりますよ!」と言っています。

歯垢なら歯磨きで除去できますが、歯石になったら犬猫の場合には麻酔をかけて処置をしないと適切に取り除くことができません。

歯垢や歯石は歯周病菌の温床になり、歯周病菌は心臓弁膜症の原因になることも知られているため、できるだけ歯石にならないよう、歯垢のうちに歯磨きで取り除くようにしましょう。

 

【普段の手入れの仕方】

子犬の頃からトレーニングできるようであれば、やはり歯磨きはできたほうが有利です。

まずはお口周りをやさしく触ったりマッサージすることから始め、時々口を大きくあけてみたりしましょう。上手に口を開けさせてくれたら思いっきり褒めてください。

次に飼い主さんの指を口に入れる練習をしましょう。指を歯にあてたり歯茎を軽くマッサージしてみたり、歯磨きをしようとするのではなく、口の中で指が動くことに慣れさせます。

上手にできたときのご褒美としてお勧めなのが歯磨きペーストです。トレーニング時に指につけても構いませんし、上手にできた後に与えるオヤツとしても利用できます。

抵抗なく指を入れさせてくれる子に歯磨きペーストは必須ではないのですが、味を気に入ってくれた場合には歯磨きを喜んでくれるようになることもあります。

ちなみに人は歯磨き後に口をゆすぐことができますが、動物の場合にはそれができないため、ペット用の歯磨きペーストには毎日体に取り込んでも害がない成分で作られています。

したがって研磨成分や歯肉の腫れを防ぐ薬用成分などは含まれておらず、口臭を軽減する香り成分や善玉菌が含まれている程度で、主に美味しい味をつけて指や歯ブラシを抵抗なく口に入れるために利用するものだと思ってください。

指を上手にお口に入れさせてくれるようになったら、指サック型のシリコン製歯ブラシや、ヘッドが小さくやわらかい毛のブラシなどへ徐々に切り替えましょう。

その時も歯磨きペーストを付けたほうがスムーズにできるかもしれません。できるだけ歯茎を傷つけないようにする必要がありますが、歯と歯茎の境目に歯垢が残らないようにかきとることが大切です。

そして理想的には歯の表だけでなく裏も触れるようになっておくこと。裏は歯ブラシではやりづらいので指サック型のものが良さそうです。歯垢や歯石がない状態でも、将来のために裏も磨く習慣をつけましょう。

歯垢を残さないためには毎食後の歯磨きが必要ですが、せめて1日1回はやってあげてほしいです。

 

【歯磨きガムの効果】

歯磨きペーストと異なり、歯磨きガムは機能的に歯垢を除去するアイテムです。ただし正しく使わないとただのオヤツになってしまいます。

歯磨きガムの選び方として、体に合った大きさのもの、適切な硬さ、できるだけカロリーの低いもの、場合によってはアレルギーに配慮したものなどがポイントとなります。

小さすぎたり柔らかすぎるとすぐに飲み込めてしまい、歯の研磨の役割としては不十分ですし、大きすぎると喉に詰まらせる危険があります。

どうしても食事とは別に与えることになるため、カロリーが高いと肥満の原因にもなり、アレルギー体質の子の場合には必ず成分を見て、自分の子に合っているかどうかを確認しましょう。

一番重要なのは与え方です。歯磨きガムは細長い形をしていたり、表面に溝があるタイプのものが多いですが、必ず飼い主さんが一端を持ち、手を離さないようにしながらもう片方の端をワンちゃんに噛んでもらいます。

このとき右側と左側で順に噛んでもらうようにすることで、噛んだ側の歯の表面が研磨されます。

小さくちぎって与えたり、丸まる1本与えて勝手に噛んでもらうような使い方ではほとんど効果はありませんし、小型犬では急いで1本丸呑みして喉に引っかかってしま事故もありますので注意してください。

 

【フードにふりかけるタイプのデンタル製品】

歯磨きペーストや歯磨きガムとは違い、フードにふりかける口腔ケア製品も見かけることがあると思います。

口腔ケアには歯垢や歯石のケアと歯周病のケアがあり、歯垢や歯石は歯磨きで取り除きます。歯垢や歯石がなければ歯周病にはなりませんが、歯磨きが苦手な子、若いころから歯磨きをせずに年を取ってしまったシニア犬など、すでに歯垢や歯石による歯周病が問題になっているワンちゃんも少なくないと思われます。

フードにふりかける製剤は、口臭軽減の香り成分のほか、ほとんどが歯周病菌と戦う善玉菌が含まれており、歯周病ケアのための製品です。

善玉菌が歯周病菌を減らして口腔環境を整えることで、歯茎の炎症を抑えることで腫れや赤みを軽減します。ドロっとした唾液がサラっとなることもあり、口臭も軽減されるので、歯磨きとは別のケアとして併用できると良いでしょう。

ただしこういった善玉菌は、歯茎に長く残れば残るほど効果がでます。したがって個人的にはフードにかけるのではなく、食事や水を飲まない空腹時に歯茎に塗布する(直接ふりかける)方法が最も効果的と考えています。

 

【歯の治療が必要になるケースとは?】

獣医師にとっても歯はとてもやっかいで、できれば手を出したくない分野の一つ。しかも歯が悪くなる時期は高齢で、たいていは何らかの持病を持っていたりするので、麻酔が必要となる抜歯や歯石処置はとても悩ましい決断を迫られます。

歯の治療が必要かどうかを決める目安で、ひとつだけ絶対的なものは揺れている歯がある場合です。揺れていれば当然痛いはずで、食欲に少なからず影響が出るからです。

それ以外に絶対的な指標はないといっても過言ではなく、また、人と同じように一度処置をしたからといってそれで終わりということもありません。

歯周病がなくても遺伝的に歯が抜けやすい子もいますが、自然にどんどん抜けてくる場合にはむしろラッキーと言えるでしょう。

土台が意外としっかりしていて揺れているのになかなか抜けないというケースでは、動物の場合には人のように表面麻酔では抜歯することができないため、全身麻酔が必須となります。

もしも重い心臓病や肺の病気を抱えていたり、持病により麻酔がかけられない場合には、寿命が来るまでとても辛い思いをさせながら日々過ごすことになってしまいます。

軽度の歯周病や歯の揺れではなかなか麻酔をかけてまで口腔処置をする決断はしづらいです。

かといって問題が出てくるまでひっぱると、歯石を除去してみたら歯はすでに抜けかけていて歯茎にぽっかり大きな穴があいていたり、それを閉じるための歯肉も溶けて…というとんでもないケースも散見されます。

特に犬の奥歯は抜歯も大変なうえ、もし穴が鼻の奥のほうへ通じてしまうと、食事や飲水のたびに鼻へ逆流して慢性鼻炎の原因となり、口腔処置をする前よりも生活しづらくなってしまいます。

もともと歯肉にも余裕がないため、穴を閉じるために頬の粘膜の一部で弁をつくって蓋にするなどの処置をしますが、奥の処置はプロでもうまくいかずに何度もやり直しになることもあります(その都度麻酔が必要)。

シニア犬で重度に歯石が付いている子は、そもそも長い間歯磨きができていなかった証拠です。そういった子が急に歯磨きができるようになることはほぼないため、たとえ麻酔をかけて歯石を除去してきれいになっても、1~2年で元通りの状態になってしまうこともしばしばです。

こういったことから近年では、ある程度の年齢で処置が必要と判断した場合、将来を見据えてその1回の麻酔で済むよう、全部の歯を抜歯するという方針をとる歯科専門医が増えました。

全部の歯を抜くの?!とびっくりしてしまうかもしれませんが、大変なことになってから処置をしたり、ハイシニアになって処置ができずに泣き寝入りすることを考えれば、予防医学の観点からは必要な処置とも言えます。

全歯を抜歯すると口唇が内側に入ったり縮んだように見えるので、急にお年寄りの顔になってしまうことや、犬歯もなくなることから舌が出てしまうという容姿面でのデメリットがあります。

ですが犬も猫も歯がなくてもドライフードを問題なく食べることができますし、重度の歯周病を抱えていた場合は痛かった部分がなくなることで、前より食欲が増えたと感じることも少なくありません。

とはいえ歯はあったほうが良いと思うのは当然ですから、そうするとやはり若いころから日々の歯磨きを習慣づけることが最も大切ということになりますね。

 

 

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